音楽産業のグローバルビジネス化に向けて ―レコード演奏・伝達権確立による新たな社会システムの実装―
MUSIC AWARDS JAPAN
MUSIC AWARDS JAPAN WEEK
CONFERENCE YouTube MUSIC INSIDER 第2部
音楽産業のグローバルビジネス化に向けて
―レコード演奏・伝達権確立による新たな社会システムの実装―

登壇者
山下貴司(衆議院議員
衆議院内閣委員長)
島並良(神戸大学
大学院法学研究科教授)
佐藤朝昭(一般社団法人日本レコード協会
専務理事)
モデレータ=柳川範之(東京大学
大学院経済学研究科教授)
「レコード演奏・伝達権」の確立はなぜ必要なのか
世界を目指すアーティストたちの支えとなるために
MUSIC AWARDS JAPAN WEEKでは様々な「SPECIAL LIVE」や「CONFERENCE」が行われましたが、6月10日にはYouTube MUSIC
INSIDERの第2部として「音楽産業のグローバルビジネス化に向けて ―レコード演奏・伝達権確立による新たな社会システムの実装―」が渋谷・Googleオフィスにて開催されました。
「レコード演奏・伝達権」とは、レストランや店舗などのBGMとして音楽CDや配信音源が利用された際、適切な対価を還元する仕組みのことです。これまで、作詞家や作曲家などの著作権者にはすでに対価が還元されていた一方で、実演家(アーティスト)やレコード製作者といった著作隣接権者は対象外となっていました。今回の著作権法改正はこれら著作隣接権者も対象に含めるというもので、6月4日に衆議院本会議にて全会一致で可決され、続く17日には参議院本会議でも可決・成立しました。
本カンファレンスの冒頭では、「レコード演奏・伝達権」がなぜ必要なのかを分かりやすく伝える動画を上映。続いてモデレータを務めた柳川範之教授より、この1年で法改正に向けて大きな進展があったことが語られ、各登壇者の発言へと導きました。佐藤朝昭専務理事からは、日本のコンテンツ産業が海外売上20兆円を⽬標とする官⺠連携での強い後押しを受けていること、MUSIC AWARDS JAPANでの取り組みを含め現状でもJ-POPの海外での支持が大きく伸びていることが解説され、一方、世界142ヶ国で導入されている「レコード演奏・伝達権」の法整備が遅れている点(アジアでも未導入なのは日本や北朝鮮などごく一部のみ)への指摘がありました。元法務大臣である山下貴司衆議院議員は、日本における著作権法の歴史をひもときつつ、国際条約により加盟国間でお互いに保護し合わなくてはいけないにもかかわらず、「レコード演奏・伝達権」については日本が立ち後れており、今回の法改正は音楽産業にとっての悲願であったと説明。日本の音楽が世界を目指すためには法改正が必要であり、アーティストの世界進出を応援したいという気持ちが高まったからこそ、衆議院での全会一致につながったのではないかと語りました。また、佐藤専務理事からの投げかけに応える形で、客席から三谷英弘衆議院議員・法務副大臣も発言。山下議員と同様に、世界へ挑戦する日本のアーティストのインセンティブのために「レコード演奏・伝達権」は不可欠であると述べ、本当の意味で対価が還元されるためには法がどう運用されるかが重要との意見も加えました。島並良教授からは、文化庁文化審議会著作権分科会などで法改正が審議されてきた経緯の解説がありました。
セミナーの主題は、改正法案の施行後、使用料の徴収制度をどう構築していくかに移り、日本レコード協会など音楽団体側では、利用者団体との協議、広く一般に向けての制度の周知を実施する予定であり、BGMを流していてもごく小規模の店舗に対しては配慮する旨が説明されました(佐藤専務理事)。山下議員も小規模の店舗への配慮は音楽業界の英断であり、「レコード演奏・伝達権」についての理解が広がった一因になったと述べ、今後も国民の理解を求め続ける意志を語りました。島並教授は制度の透明性、公平性、効率性が重要になることを指摘し、さらにはAI時代に対応した著作権法全体の抜本的な改正も視野に入れるべきとの意見も明らかにしました。最後に山下議員より「コンテンツ産業は日本の基幹産業であり、中でも音楽は特別な存在です。私自身もこれまで何度となく音楽に勇気づけられてきました。今後も音楽がそういった存在であり続けるために、今回の法改正が支えになればと思います」との言葉があり、カンファレンスはタイムアップとなりました。

山下貴司 衆議院議員 衆議院内閣委員長

島並良 神戸大学 大学院法学研究科教授



三谷英弘
衆議院議員 法務副大臣